spider head banks『my way』/F.R.S『我音光有』

spider head banks『my way』とF.R.Sの『我音光有』はここ最近買ったCDの中でもかなりのアタリ作品だぞ! 両者とも自分のイベントに出てくれたもんだからひいき目があるんじゃないの、と、自分自身に問いかけてみても、そんなことは一切ない。けっこうノリまくっちゃうライブに比べて、音源というのはかなりドライかつ慎重に聞き入る方だが、それでも、何度(ここ数日で100回くらい)聴いても良いのだ。
 
 良いのだ。
 
 良いのですよ。
 
 両作ともなんだか聴いているうちに、ゾクゾクしてきて恐くなってしまう、いや、恐いってのはないけど、身震いするほどのカッコ良さですよ。spider head banks『my way』はもう歌の殺傷力が凄い! 糸一本で釣られたような、ヒリヒリの緊張感をずぅ〜っとキープしたままのサウンドクリエイションの中で、ぶっきらぼうに歌うseijiさんに、かなりビビる。柔らかかった印象の曲がいきなり鋭利な曲に聞こえる瞬間があったり、またその逆もあったりと、多角的なアレンジも飽きない。静かさの説得力というか、余分なものというか必要だったものまでを削ぎ落としてしまったような繊細さが、逆に芯の強さを見せてくれている音世界だ。ひどく痛々しく不健康な状態にありながら、それでもこちらを睨む視線は揺るがない、そんな強固な信念を感じさせる。恐いほどの叫びは、やがて自分の心と繋がってしまい、そこにめちゃくちゃに感動している自分がいる。抽象的な表現ばっかりだが、なんか具体的に書けないほどに気持ちが持っていかれる精神的なアルバムです。

 F.R.Sの『我音光有』はレコ発ライブ会場で買った。こちらも全曲ともVo.ふみとも君の奇想天外な言語感覚が縦横無尽に飛び交っている。日本語を楽しめるという才能を、粋な知性で爆発させた歌詞がまず最高。英詞の曲も1コあるが、その約は完全に日本的情緒に満ちている。文学性の高い言葉で遊べているのが面白くて、またそれをスマートに歌えるボーカリストとしての力量もかなりのもの。低い声に魅力のある声質もいいよね。曲も、リフレイン的なキャッチーなギターを中心にして、ユーモアのあるフレーズが次々と展開、そのアイデアが凄い。構築的なロック+パンキッシュな魂+和の心って感じで、
ボーカルともども全体的にかなり変態的な快作ですよ。