Live in Hyde Park

渋谷にはCDを買うためだけに向かったのに、タワーレコードに向かう途中の歩道での人々と擦れ違うのが恐くて、レコファンに入ってしまいました。都会の人は歩くのが早い。ゆっくり歩け田舎者め。

 そんなことを書くんじゃなかった。レッチリのアルバムのことだった。

 これは今年6月の19日、20日、25日の3日間にイギリスのハイド・パークで行われた、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのライブの模様を収めたライブ盤『Live in Hyde Park』。なんと3日で25万人を動員したという、今年のロック界の大きなトピックとなりうる大規模な公演である。

 かつてはチ○コ丸出しで暴れていたあんちゃんバンドだった彼らだが、今はこんなにまで貫禄のあるロック・スターにまで登りつめた、ということを証明するには充分な内容で。個人的にはエアロスミスよりも貫禄のあるアリーナ・バンドじゃないかとも思うほど。

 それだけ音楽に誠実に向き合い、着実に成長していったということなのだろうが、ここまで自分たちの力だけで実力をつけて、かつ大きくなっていたバンドもそういない。巧みなギター・ワークの鋭さや、ボトムを支えつつもそこに絶妙に絡むベース・ラインは世界トップ・クラス。あと、『カリフォルニケーション』以降のアンソニーの、ダウン・テンポの曲における渋味溢れる歌声はかなり良い。昔のCD聴くと普通にへたなのに。

 70年代のアメリカン・ラジオ・ポップスのカバーを披露するなどのメロディへの抜群の嗅覚や、通好みの細かいワザ師ぶり、それからバンドとしての固い結束力はさすがと言うほかない。彼ら以降、サウンドが激しいだけのラウド系バンドは数多く現われたが、そのどれもが、彼らにかなうところではないのは当たり前。あまりに存在が圧倒的なのでちょっとマヒしている感じもしたが、あらためてレッチリの偉大さを知るには、先のベスト盤よりも良い一枚だった。

Live in Hyde Park

Live in Hyde Park