BEAT MEET COMMUNITY

S.P.Aの2ndアルバム『BEAT MEET COMMUNITY』収録の、「東京」という曲が熱い。感情を抑圧するかのようにヴォコーダーをかけた8さんの淡々とした歌と、カツさんの装飾音符を徹底的に散りばめた生ドラムンベースの迫力の対比が鳥肌モノだ。聴いているうちにトランシーな気分になってきて自然に体が動かされるが、押し込めながらも8さんの鋭い想いが、確かに突き刺さってくる感じがする。思いっきり盛り上がって、フッと静寂にもどるラストで我に返るのだが、そのときにはじめて曲にのめり込んでいたことに気づくのだ。このバンドが持つダンサブル、ファンクネスといったエッセンスを凝縮したような曲である。

 1曲目、半音フレーズのリフとアッパーなラップで幕を上げる「リッタルッタ」は、コミカルかつ強靭な安定感を聴かせるヴォーカルを押し出していて、サビの、ライブでのノリを意識した楽しげな展開は、S.P.Aらしいダンシング・ビートを維持しながら、ポップ・ロックとしての普遍性も充分に持っている懐の深さが現われている。そこから冒頭のフレーズに繋がる自然さも凄い。続く「少年+十」はS.P.Aの新しい面を出した楽曲(のように聞こえる)。シリアスなメロと歌詞が印象的で、確かな演奏力、アレンジ力で、リード・トラックにふさわしいポピュラリティーのある曲だ。ハイライトは二種類のメロディを同時に聴かせるラストのパートで、その楽曲を練る能力を痛感させれる。トリさん、儚くて優しいメロディ書くんだよなぁ。
 
 ほかにも、ライブでもお馴染みの、何も考えないで叫びたい「Funk man」、「カゼキリ」も好きだ。

 さらに前作にもあった「Funky monster」「非科学エナジー」の両曲も収録。どちらも耳を離れないキラー・チューンだが、リアレンジしてさらに凄味を増している。今回はアルバム全体としてホーン・セクションを迎えているが、それが加わった「Funky monster」は別曲のように華やかになっていて良い。「非科学エナジー」の相変わらずサンプリングかと思うほどのベースは必聴。ギターもワウやワーミーといったペダル系のエフェクターの使い方がよりネバっこくなっていて、楽曲全体もよりいっそういやらしくなっていて良い感じだ。この曲のスゴバカ具合も是非聴いていただきたい。

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