セキララ結婚生活

■『ダ・ヴィンチ』2月号、『あたしンち』で知られる漫画家、けらえいこのインタビューが面白かったです。15年前に発表した『セキララ結婚生活』とその続編『たたかうお嫁さま』、『いっしょにスーパー』という、けらえいこの“新婚コミックエッセイ3部作”が新装版で発売されることを受けての記事でしたが、コミックエッセイというジャンルが確立されていない当時に、著者がどのようにこのスタイルを確立してきたかという創意工夫の遍歴が興味深かったです。
けらえいこ作品に共通する面白さは、日常にあるちょっとした心の動きのおかしみをあざとく切り取っていく冷静な傍観者的視線にあります。「朝起きて食事して会社行って……というのが公式の記録になるわけですが、人はその間に本当はいろんな細かいことを思っているはずなんです」という、その時々の気持ちを大事に記録していく、以降の『あたしンち』まで続く観察眼と人に対する愛情に満ちた作風を裏打ちするスタンスが語られていて、それが刊行して15年たった今でも『セキララ結婚生活』が、ノロケを感じさせずに声を出して笑いながら読める所以ということで、また同時に後に続くコミックエッセイブームのフォーマットを未開発だった当事に完全に確立していたことも解ります。言葉で説明すると簡単だけど、これ、凄い才能ですよね。
記事には本人の写真も掲載されています。はじめて見たけど、おっとりした感じの親しみやすい感じで、作風そのまんまの印象を受けました。
■あと、本誌では涼宮ハルヒについての辛酸なめ子の素っ頓狂な感想文がかなり笑えました。

ダヴィンチ 2007/02月号

ダヴィンチ 2007/02月号


セキララ結婚生活

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