割り箸問題の実情と疑問への結論

依然として気になっている割り箸問題について、いろいろと調べてみた結果は、やはりマイ箸を持ち歩いて使うことが今のところは最も気軽かつ最短の方法であるという結論に行き着いたので、経緯を記したい。
のだけど、どれもこれも完全に信用できるソースからの情報ではないのでこの結論もまた二転三転する可能性も大いにあるのです。でも信用できる情報ってなんだろう。webの情報なんて玉石混合なのは言わずもがな、だけど他に雑誌だって編集部の方針で内容が書かれているし、ニュースも本も、林野庁の情報だって、どれもこれも100%信用していいものなのかどうかすら、まだわからないというところが、これほど長きに渡って論争が繰り広げられている所以なのだろう。


【間伐について】
この話題はそもそも「割り箸は森林を伐採するvs割り箸は森林を豊かにする(間伐材の使用により)」という二項対立の決着がはっきりついていないように見えたことから気になった。「間伐」とは豊穣な森林の育成に必要不可欠なもので密集した木々の内、成長競争に負け育ちの遅れた細い木を伐採=間引くことにより、理想的な樹立の密度を確保することである。このように手入れされた森には太陽光が土面にまで降り注ぎ、栄養豊富な土壌を育み生態系を豊かにする=土砂崩れや水質汚染を防ぎ木々の生長をより促進する。間引かれた間伐材は材木としては使えないので廃材として扱われる。しかし日本は2/3が森林という国土に恵まれながら、現在多くの場所でこうした手入れが行き届いておらず、国産の材木、間伐材を積極的に使用していくことが、森林育成に一役買うことになる。

【中国産の割り箸】
で、割り箸はこの間伐材を使用しているから森林の育成に一役買っているということになるのだが、実際はシラカバ、スギ、ヒノキなどの高級な国産の割り箸はとうの昔に競争力を失い、国内流通量は5%に満たない。残り95%以上は中国からの輸入品であり、これらは中国本土で天然林の乱伐によって生産されていると言われている。そしてまた、国産の割り箸をなんとかして使えばいいかと言えばそうでもなさそうであり、実情として物流量の少ないものを生産から販売するまでの、非効率な流通過程に排出されるCO2の量、あるいはどこで生産されていようが捨てて燃やせばCO2が排出されるために他の利用法を模索すべきだという意見、単純な割り箸撤廃したときに中国での生産業者の生活の問題はどうするかという意見もある。

【企業の動き】
最近行った松屋や笑笑では割り箸がなくなっており洗って使うタイプの塗り箸が採用されていた(他にすかいらーく等)。こうした飲食店の動きはCSR云々というより、2006年から中国の割り箸に課せられ関税が大きな理由と思う。実際これらを洗浄するときに生まれる排水による水質汚濁についてまで明記されている店は無かった。また太陽生命林野庁と話を進めて独自の森林の保護運動を開始、間伐材利用の割り箸生産から社員・顧客への販売/使用を積極的に浸透させている。ただしこれも、どこの会社もできるか、どんな個人でも購入できるかという難しさもあり、その森林に赴くまでに車で出かけていくという活動内容にはいささか矛盾も感じられる。

【結論】
以上の理由から、最もエコ活動として適した箸は国産の材木を利用した割り箸を使用すること、であるが、結局それも手に入りづらく個人の生活では限界がある上、他に様々な意見があるために、普段はマイ箸を使い最低限の水で洗浄する、ということが一番手軽にできる事であると結論づく。ただし、それでいきなり割り箸を絶対に使うなというのも無茶だし、必要以上に使うこともないというぐらいの取り組みでいいはずだと思うのだ。それを多くの人がやったら十数年後には何かが変わっている、かもしれないのだから。
もちろん、もっともっと改善すべき大きな問題は他にありそうだという意見も重要である。ただそれも、マイ箸というシンボリックなブームが巻き起こることによる、世間の風潮の余波が影響していって、いろんなことの切欠になる、そのぐらいの弾力的な考え方でいいと思うのだ。たとえ、このブームも京都議定書の削減義務が大変にまずいことになってることに気づいた国が、政策として起こしていることだとしても。


Wikipedia:「割り箸」→http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%89%B2%E3%82%8A%E7%AE%B8#.E7.92.B0.E5.A2.83.E5.95.8F.E9.A1.8C
割り箸から見た環境問題→http://www.sanshiro.ne.jp/activity/99/k01/6_18prs1.htm
武田邦彦ホームページ:[寸評・随筆・コーヒータイム]→http://takedanet.com/2007/04/post_b108.html
J-CASTモノウォッチ:「マイ箸」ちょっと待った! あえて「割り箸」という選択→http://www.j-cast.com/mono/2008/07/04022969.html
林野庁ホームページ→http://www.rinya.maff.go.jp/