Photoshopのショートカット・考

DTPに限らずとも我々のようなパソコンを使った、「開発」ではない「運用」系の技術職というものは、いろいろとカタカナのスカした職名がつくものの、結局はIT土方とも揶揄されるように、現場のブルーカラーでしか過ぎない。
DTPオペレータなどという仕事をしているが、その枠組みの中における画像処理というものは、いわゆるちゃんとした写真をよりよく見せるとか、アートな合成写真を作るという、カメラマンや専門化が行なうちゃんとした商売ではない。とにかくめっちゃくちゃ汚い写真に出鱈目な注文が課せられ、それをそのあとに印刷する機械の仕上がりを予想しつつ行なわなければならない。とうぜんあらゆる条件で注文にあわない仕上がりになったりするが、それを見越した修正を行なうことが出来なかったという意味で、責任は全部担当者が負う。
クライアントからしてみたらプリンターの特性なんて知ったことではない上に、今の時代どんな写真加工もパソコンで出来る、という認識だけが広まっている。加えてこの不況である。
つまるところ我々のタスクとは、要求にできるだけ応じた結果を、トニモカクニモ短時間で出し、その単価はカメラマンやデザイナーに比べてべらぼうに安い
。ということである。

ワタクシ、担当しているとは言え、実はこれが苦手です…

画像処理というのは色々と要素はあるのだけれど、簡単に言ってしまえば「時間をかければかけるほど良いものが出来る」というものである。しかし、その良さというのも、あるレベルを超えればデータを見ているレタッチャー自身や、写真について詳しい人にしかわかんないようなこだわりになってしまうところがあって、重要なのは「こんなもんでいいだろう」のライン引きだ。
だから、凝り性の人には向いていない。
というか、やり始めれば誰だって凝ってしまうものであって、つまりは変なプロ意識を持たずにちゃっちゃとこなすことが、結果的にプロ、ということになるのである。つべこべ言わずにさっさと終わらせろ、というスタンス。
うーん
そうは言っても、なるべく良い結果を残して自分のスキルアップにも繋げたい。でなければやっていて馬鹿馬鹿しくなってしまう。
そんなわけで端的に思いつくのはキーボードのショートカットである。マウスでメニューを選択しているような時間を1秒でも2秒でも削って、余計な時間を短縮することで、実働時間とストレスをできるだけ軽減する。
Photoshopのショートカットは、最初から割り当てられているものに加え、それを自分で編集する機能、割り当てられていないメニューに新しいショートカットを登録する機能、さらに特定の作業を自動化するアクションメニューに登録するショートカットがある。
仕事で使っているマッキントッシュというパソコンにはWINDOWSのように[Alt]キーと英字によるメニューコマンドのショートカットや、右クリックメニューを表示させる[Application]キーがないために、これらが非常に重要なのだ。直感的なインターフェイスを目指したGUIのオリジナルというプライドからだろうか、これが不便極まりない。さらにあの悪名高いユーザビリティでお馴染みのマウスでカチカチやっていては、あっというまに時間を使ってしまう。マックのパソコンも初めて触ってから10年になるが(!)OSXになってからはやっぱり好きになれないなぁ。

写真を開き、まず[S](スタンプ)、[J](修復)で画像のクリーニング。([shift]+)[、]でブラシのサイズ、ボケ幅の調整を行ない不透明度は数字をそのまま入力する。
[コマンド]+[^][1][2][3]でRGB各チャンネルを表示して色を確認
[コマンド]+[F1][F2][F3][F4]でトーンカーブ、色相・彩度、特定色域の選択、チャンネルミキサーなどの調整レイヤーを作り実行
この際必要に応じて[W](自動選択)、[L](多角形選択)、などを使い、または[コマンド]+[option]+[shift]+[C]で色域指定にて選択範囲を作成、微調整は[Q]クイックマスクで、[B]ブラシを使う。ブラシのサイズ、ボケ幅の調整はスタンプと同様。最後に[コマンド]+[option]+[D]で境界線をぼかす。このときマックOSの「ユニバーサルアクセス」機能はオフにしておく。
選択範囲が出来たらば[コマンド]+[option]+[shift]+[Y]で反映させたいレイヤーに、レイヤーマスクを作成レイヤーの描画モードは[shift]+[+][-]で切り替え、不透明度は[V]選択ツールに変えてから数字をそのまま入力すれば変わる。
色ではない修正の場合は[コマンド]+[option]+[shift]+[B](ぼかし ガウス)、[F](アンシャープマスク)、[D](ダスト&スクラッチ)、[Z](ノイズを加える)、[X](抽出)など、各フィルタを実行する。ピクセル情報をいじるため、このときは[option]+[]で対象のレイヤーを移動[コマンド]+[]でレイヤーの順序を移動[コマンド]+[J]でレイヤーを上方向に複製して、処理前の状態に戻れるようにしておく。
[コマンド]+[option]+[C]カンバスサイズ、[コマンド]+[option]+[I]画像解像度、等を確認しつつ、[コマンド]+[Y]色のプレビューでCMYK変換時の色を見て、[コマンド]+[control]+[P]でCMYK変換、、[コマンド]+[control]+[shift]+[P]でプロファイル指定により確認。


なんて具合である。まだまだ挙げるときりがない。文字にするともの凄く複雑だが、実際に手で覚えると早いもんである。
しかし、この中には自分で独自に設定したショートカットも多数あり(青字がそう)、好き勝手に使っているうちに、どのコマンドがどのメニューにあるか、とか、初期設定のショートカットはどうだったか、というのが完全に忘れてしまっており、これは果たしてスキルが上がっていると言えるのかどうか。少なくとも他所での潰しがきくかどうかという意味ではマイナスである気がしてならないこともない。

そして最終低には、結局そんなん覚えたってひとつのアプリケーションじゃねーかという、そもそもの自問自答に押しつぶされそうになりながら、今日も写真の赤浮きがどーしたとかメリハリがどうのこうのだとか言われつづけるのが、毎日の仕事なのだ。


追記
記事に書いたショートカットはマック版のPhotoshop CS2,CS3によるものです。
ショートカットに凝り始めると、ミスって変なフィルターとかアクションを実行しちゃったものを上書き保存して、書類を閉じてしまう、なんていう取り返しのつかない失敗をしがちなので気をつけてください。防止策として[コマンド]+[S](上書き保存)のショートカットをあえて外しておくことも有効です。