aiko「桜の時」をコードから聞く

花粉症とはそもそも誰でも持っているものであって、自分の中での花粉を許容できる臨界点をオーバーフローすると突然発病するらしい。
そんでその容量っていうのは幼い頃の衛生環境に大きく関わっているそうだ。
要は潔癖に育てられればそれだけ免疫力が育たないっていう。
物心つく前から両の親がステレオで煙を燻らし、高速道路沿いの団地で育ち、荒川沿いの工業地帯で遊ぶ少年時代を過ごした自分は、そのような心配は無用かもしれない。親に感謝。
過保護は子供に何も与えない。免疫力も想像力も社交性も芽生えさせない。

まあそもそもは国単位の公害ということにつきるのだけど。
とにかく早くバッポンテキな対策が取られることを願う。

朝、なんか顔にガスマスクみたいのを装着して、近所の幼稚園に向かう子と遭遇。
その後ろから母親らしき人。
「○○ちゃ〜ん、転ばないように気をつけてね〜」
って。
その子はその子で「は〜い」って。

いやいやいやいや! バランスおかしいから!「は〜い」の声がこもってるし。

不自然に通る子供の声。あっけにとられいぶかしんでその様子を見る俺。その俺をキッと睨む母親。
どう考えてもいかんだろう、こんな社会は。

あの子が花粉症以外の、もっと深い事情があるゆえでのガスマスクであって欲しいと願ってやまない。

大気汚染と誤った国策による花粉症被害の増大。
さらに温暖化の進行によって桜の開花の早期化。

春なのに色々と憂鬱な。


さて、気を取り直して春と言えばaiko「桜の時」を聞きたくなる。
数ある「桜」「春」の中でも、aikoの曲の中でも一番好きです。

今年もこの時期に聞きたくなって、ついでに「桜の時」のコードを調べてみる。
http://music.j-total.net/data/001a/010_aiko/006.html
。。。変すぎ!
ピアノで自由に作曲する人にありがちだけど、aikoの曲は特に凄い。
コードが暴れ回ってる感じで複雑すぎることになってる。
だが、そこがいい。だから何度聞いても飽きないのである。

この曲で一番スリリングなところはサビ前の部分。

C#m      Caug  E/B      F#/A#
「春が来るとこの川辺は 桜がめいっぱい咲き乱れるんだ」

のところ。
C#m→Caug→E/B
の流れで、
C#mの短3度と完全5度
Caugの長3度と増5度
E/Bの1度と長3度
で、ミとソ#がキープされたままルートの音が ド#→ド→シ と半音下がって行くところ。
三つ目のE/Bは単純にEでも成立するんだけど、この後にF#/A#と続くルートの下降感をより強調させるためにしてるんですね。
例えばC→Caug→C6みたいに、一つのルートで構成音が変化していくクリシェがあるけど、これはその逆ですね。
いや逆っつーか。

そしてそのあと、その貯められたソ#が1度上がると同時に、
それが下降するルート音の終着点でもある、という、ラ#を印象づける
F#/A#で、急な展開を予感させるのだ。

んで、

A   G#m  F#m G#m  A Bm E7  
あなたは言う  あたしは  うなず く

という、もうコード進行がそのままメロディーみたいな、慌ただしく強引にサビにもってしまう強引な上昇フレーズにつながっていき、
最後にいわゆる相性のいい4度上進行であるB→Eへとスムーズに持って行って、
でもサビでは、E7から安直にはAには行かずに、
F#m→G#→C#mという、マイナーコードの上昇進行という、実は地味な展開。なのに明るくてポップな歌が跳ねるという感じでです。

うわーやべえ!!
ゾクゾクする!! このコード進行!! 興奮しっぱなし!!
なんか好きな曲を理屈で見てみるとちゃんと理由があるもんだわね。
ちゃんとコード理論学んでみようかなと想ってみる09年の桜の時。